第二回かが屋単独ライブ「瀬戸内海のカロカロ貝」2019.4.27
前書き
この日は最低で最高だった。一日でとことん自分のダメ人間っぷりを思い知らされた挙句、このライブの公演時間を勘違いした私は下北沢を爆走して北沢タウンホールにギリギリ駆け込んだ。ほぼ泣いてたと思う。
でも、そんな最悪な気持ちは一時間ちょっとで吹き飛んだ。不器用な人間がたくさんでてくるかが屋のコントに勝手に励まされ、応援されているような錯覚を起こしたから。笑いという形で人間を肯定されているような感覚。公演中は普通に笑って見ているし、彼らはそんなふうに見られることを望んでいる訳ではないと思うけど、見終わった後に胸がじんわりとするこの感覚は、かが屋の大きな魅力の1つとして語らせて欲しい。
ネタ
1.コンビニ
かが屋のあいさつコントにふさわしいコンビニネタ。加賀さん演じるコンビニ店員の真面目過ぎるが故の苦悩。「なんで言われたことしかできないんだ」と言われてしまうような店員さんなのだと思うけど、まっすぐ通った正しさを感じさせる。
かが屋のコンビニネタはパントマイムの丁寧さがやっぱり素晴らしい。レジ袋の持ち手をクルクルしてあげる優しさにもまた、彼の人柄。
OP
関係者が見るリハではあまりウケなかった。後ろを向いているシーンでお客さんが笑ってくれたのでニコニコしちゃった加賀さん。
2.リズム
片親コンビ全開のネタ!1日目の夜に放送された冠ラジオ「かが屋の鶴の間」を聴いた後だったのでニヤニヤした。見えない第三者に想像の余白が残されているのがいいなぁ。
手の動きにも個性がでて面白い。賀屋さんはビシッと止める。加賀さんはリズムの流れでやってる。
3.ランチ
語らずとも人柄や関係性を感じさせるセリフ選びが特に素晴らしいネタ。良い人すぎる加賀さんとそれに苦しめられる良い人賀屋さんの優しい世界。
余談:私の通う大学では「外のベンチでお昼を食べている1年生」が4月恒例の光景(それぞれ自分の居場所を見つけていくので段々いなくなるから)らしいけど、他はどうなんだろうか。
4.親友
これ、もしタイトルが付いてなかったら「ドッキリ」とか「サプライズ」って呼ぶと思うんです。でも、「親友」。それによって、1回きりの出来事じゃなくて何年も積み重ねてきたであろう2人の日々のやりとりが感じられる。シンプルながらも秀逸なタイトル…!終わった後すごく感銘を受けた。
2人の間の約束はあと何個あるんだろう。それも、きっとくだらないやつ。
5.市役所
1日目で噂だった彼女、りっぴが本当にかわいかった。多めに後れ毛を残したローポニー、いつもの白Tにプラスしてカーディガン。市役所勤務の女の子として完璧。ちょっと子どもっぽくて抜けてるけど真っ直ぐなけんちゃんが、りっぴは大好きで放っておけないんだろうな。
ゼクシィはイエスノー枕です。
6.電話
電話ではないけど同じようなことをやったことあるのでめっちゃ分かるよ〜!!ワンオペ接客業あるあるだと思う。多分。「じゃあ知ってなきゃ…!」までのやり取りがとても愛らしい。ポンコツバイト君を放っておけない店長に、同じようなことをしてしまう人間である私は勝手に救われました。
7.始発
かが屋の単独のラストはお馴染みの電車ネタ。(コンビニで始まり、電車で終わるのはかが屋らしくて最高…!)窓越しに手を合わせるシーンで2人を隔てるガラスの厚さを感じさせ、「聞こえない」の説得力を強化するのはさすがだなと思いました。状況説明をしないことでセリフ、パントマイムのキメ細やかさが際立つ顕著な例かなと。カッコよく決めたいのにそれができない現実のもどかしさ。ドラマ通りにはいかないけど、それを後から笑い合う日がくるかもしれない。また別のドラマに期待しよう。
ED
・ミスでクリアファイルの文字が溶けて、貝が細長ーくなった。黒いTシャツは貝のロゴが見えづらくなってしまったので白より500円安い。(黙って正規の値段で売れば自分たちの儲けになるのに律儀に説明してくれる優しさ。ファンでいて良かったと思う。)
・ネタ中に使ったコタツはパーパー・3人合わせて星野です氏の私物。
後書き
とても、心の満たされたライブだった…!かが屋のコントは、時間にしたらせいぜい5〜10分程度なのに登場人物それぞれの人生を感じさせるのがすごいと思います。それぞれの人生があって、それぞれの人格があって、そこに関係があって、そして生まれる出来事に居合わせたお客さんたち。その場では処理しきれない、空間の豊かさに私は魅せられているんだろうな。充実した時間をありがとうございました。
もし次の「瀬戸内海のカロ貝屋」が先着だったら、チケット取れる自信がないや。